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2022年もギヤオイル供給不足が続く原因は?添加剤の出荷停止の影響を解説

2022年を半分過ぎた今でもギヤオイルの供給不足が続いている原因は、ベースオイルの不足や高騰・添加剤の不足・輸入に頼っている点にあります。

2021年からギヤオイル不足が深刻化し、なぜ今も問題が解消されないのでしょうか。

この記事では、ベースオイルや添加剤不足について、ギヤオイル不足によって起こりうる影響と今後の供給量回復の見通しについて解説しています。ぜひ最後までご覧ください。

2022年も継続する「ギヤオイル不足」の原因とは

2021年からギヤオイル不足が深刻化し、2022年を半分過ぎた今でも完全に解消とまでは至っていません。約1年もの間、供給不足となっている原因はどこにあるのでしょうか。

ギヤオイル不足となった原因は、ギヤオイルを構成するベースオイルと添加剤にあります。それぞれの理由について以下で解説します。

理由1:ベースオイル不足

ベースオイルの不足は、2021年5月ごろより問題となってきましたが、主な原因は以下の通りです。

  • コロナ禍で航空需要が減ったため、原油の精製量が減少した
  • 2021年2月の大寒波で、アメリカのテキサス油田が一時生産ストップ
  • 原油価格の高騰で輸送費用も上昇している一方、中国では高値でも非常に売れているため、品薄状態となっている

上記3つが主要因となり、ベースオイルが不足する事態に陥っています。

理由2:オイル添加剤不足

ギヤオイルを構成する添加剤の製造は、世界でも2社がほぼ独占している状態です。その中でも以下のような原因で、添加剤不足が生じています。

  • 工場の設備トラブルによる出荷停止・制限がかかっている
  • 大寒波の影響で添加剤そのものの輸送が遅れて、品薄になっている
  • 石油元売りでも、各ギヤオイルに必要な添加剤の確保を見極めるため、出荷を止めている

独占している2社のうち1社で工場の設備トラブルが起きたことで添加剤不足となっており、もう1社は明確なトラブルはないようですが生産量が少なくなっています。そのため、添加剤が著しく足りなくなっています。

ギヤオイル不足が引き起こす影響

ギヤオイル不足により、どのような影響が起こるのでしょうか。

ギヤオイル不足と聞いても「MT車に乗らないから関係ない」と思っていませんか?しかしギヤオイルが使用されているのは、自動車だけではありません。機械や産業で使用されるうえ、適合したものや純正品しか使えない場合もあるため、ギヤオイルであっても規格に合ったものを使う必要があるからです。

ギヤオイル不足により、今後起こりうる問題について解説します。

オイルの価格上昇

ギヤオイル不足の影響として、まずは販売価格の上昇が予想されます。需要と供給を考えれば、ギヤオイル不足により価格が高騰するのは仕方がありません。

しかし、ギヤオイルを生産するために必要となる「ベースオイル」の価格も高騰しています。

昨今ではウクライナ情勢の影響などから、オイルの製造に欠かせない原油が高騰しているため、今後もギヤオイルの価格が高値で推移する可能性が高いといえます。

メンテナンス不足による機械の故障

またギヤオイルが不足することで、産業用の機械へ及ぼす影響も避けられないでしょう。

ギヤオイルにもさまざまな種類があり、極圧剤を含むオイルは多くの機械で使用されています。また、車のみならず機械でもそれぞれに適したギヤオイルがあるため、規格外のものは当然使用できません。

そのためギヤオイルが不足すれば機械のオイル交換ができず、メンテナンス不足による故障にもつながりかねません。

ギヤオイルの供給量回復への見通し

ギヤオイルの供給量は今後どうなるのでしょうか。2022年7月現在で、石油元売りによるギヤオイルの出荷制限は続いています。

ギヤオイルが全くないわけではありませんが、供給分は新車への充填が優先されるため、一般市場にはあまり出ていないのが現状です。

一時的に出荷を再開しても、在庫を確保しようとの動きから、注文が殺到し受注停止となっています。また添加剤の種類によっては、製造や輸入が遅れているものもあるため、製品によっては更に品薄の傾向が高いといえるでしょう。

2022年9月現在で、アメリカのギヤオイル添加剤の製造は正常化しつつあります。ただし添加剤が輸入されるまで日本ではタイムラグが生じるため、日本のギヤオイルの製造が回復するのは、2022年年末から2023年の年始頃ではないかと予想されています。

まとめ|ギヤオイルの使用量を算出し「適正在庫」確保を

この記事では、2022年もギヤオイル不足が続く原因と今後の供給量回復への見通しを解説しました。

ギヤオイル不足の主な原因であるベースオイルと添加剤の不足は徐々に改善しつつあるものの、日本での供給量回復にはまだ時間がかかると予想されています。

また、ギヤオイルは車以外でもさまざまな機械や産業で必要です。不足すれば機械のメンテナンス不足や故障につながるため、ギヤオイルの買い占め等はせずに、必要な量を算出し、適正在庫を確保するよう努めましょう。

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