潤滑油

原油を精製すると何ができる?製造のプロセスからすべて解説!

原油を精製して作られる成分に疑問を持つことはありませんか?実は、ガソリンも灯油も軽油も「原油」から精製されています。

この記事では、原油から精製される5つの成分と、石油で活躍している商品を紹介しています。ぜひ最後までご覧ください。

原油は常圧蒸留装置を使って精製する

原油に含まれるさまざまな成分は、高さ約50mにも及ぶ「常圧蒸留装置」と呼ばれる塔で、沸点の差を利用して精製されます。

また、常圧蒸留装置は、別名「トッパー」「トッピング装置」「原油蒸留装置」と呼ばれる場合も。

常圧蒸留装置は以下のような構成となっています。

  • 加熱炉:原油を加熱する
  • 脱塩装置:不純物の処理を施す
  • 主蒸留塔:蒸留を行う
  • 蒸留塔(スタビライザー):蒸留後のナフサなどを分解する

以上の装置等を使用して原油を精製しているのです。

常圧蒸留装置で分けられる5つの成分

常圧蒸留装置で分けられる5つの成分は、石油ガス・ガソリンナフサ・灯油・軽油・残油です。これらの成分がどの沸点で精製されるかご存じでしょうか?マイナス42~350℃以上とかなり幅が広いのです。一つずつ解説します。

石油ガス(LPガス)

最も低い温度で精製される石油成分が、石油ガス(LPガス)です。プロパンガスがマイナス42℃、ブタンがマイナス1℃と、沸点がかなり低いため、冷却装置で冷却してから取り出します。

ガソリン・ナフサ

ガソリン・ナフサの沸点は幅広く30〜200℃ほどです。30〜80℃ほどの成分を軽質ナフサ、80〜200℃の成分を重質ナフサと呼びます。ガソリンは、重質ナフサからさらに手を加えて製品化しています。

灯油留分

灯油の沸点は150~250℃ほどです。常圧蒸留装置で得られる粗灯油をさらに水素化分解装置で処理し、私たちが生活で使用する灯油留分と精製しています。

軽油留分

軽油の沸点は240〜350℃ほどです。常圧蒸留装置から精製した軽油には、軽質軽油が混ざっているため、水素化精製装置で処理し、軽油留分を精製します。

近年では軽油深度脱硫黄装置が導入されており、低硫硫黄化を防ぐなど、環境への配慮が施されています。

残油

残油の沸点は350℃以上で最後まで蒸発しない、高沸点炭化水素の混合油です。粘度によってA・B・Cの区分に分けられており、Aはビルの暖房など、Bは窯業炉用燃料(需要が減っている)、Cは電力・化学等のボイラー用燃料として使用されています。

沸点を利用した精製方法とは

ガソリンや灯油・軽油の沸点について紹介しましたが、これらの成分は沸点の違いを利用して蒸留しています。

まず、原油を350℃以上ある加熱炉で加熱し、蒸留塔に挿入します。蒸気は、上昇するに従って温度が下がるように塔の内部温度が設定されており、沸点が低い成分から液体になります。液体となった成分を回収しているのです。

石油で活躍している製品

回収した石油成分がどのようなものに使われているかご存じでしょうか?ガスコンロやプラスチック・ガソリンなど日常生活に欠かせない製品にも多く石油は使われています。

ここからは、石油で活躍している製品を成分別に紹介していきます。多くの方が知っている製品から、あまり知られていない物まであるため、ぜひチェックしてください。

LPガスを使用する商品

LPガスは液化石油ガスとも呼ばれ、主成分はプロパンやブタンです。プロパンガスは、家庭用コンロや給湯器で使用されており、ブタンガスはカセットコンロ・ライターガスなどに使用しています。

今後は、新バルク供給システム(バルクローリーからホースで直接LPガスを充填する方法)が普及すると期待されているため、より安定した供給が期待できるでしょう。

ガソリン・ナフサを使用する商品

ガソリンは、ほとんど自動車燃料として使用されますが、ランタンの燃料や工業用ガソリン・航空用のガソリンとしても使用されています。

また、ナフサはプラスチック製品や合成繊維の原料などに使用され、私たちの生活には必要不可欠です。原油の使われ方のうち、自動車の燃料は38%以上と最も多く使用されています。

灯油を使用する商品

灯油を使用している商品は少なく、主にストーブやファンヒーター・給湯器などの機器に使用されます。工業用の用途としては洗浄や溶剤としての役割を担うことも。

灯油は、夏場に比べ冬場の使用量は5倍にもなるため、夏場のうちに貯蔵している場合が多くあります。日本では、北海道の灯油使用量が最も多く441.3L(平成29年)もの灯油が購入されています。灯油は雪国にとって欠かせない燃料といえるでしょう。

軽油を使用する商品

軽油はディーゼル車やボイラー燃料・バスやトラックの燃料として使用されています。発電や農業・建築機器にもよく使われる軽油ですが、ガソリンとは異なる成分のため間違えてガソリンを給油すると故障するおそれがあります。

似ているようで全く異なる成分のため、ガソリンスタンドに行った際は、間違わないように注意しましょう。

残油を使用する商品

残油は、道路用のアスファルトや発電・船舶用の燃料として使用されています。金属や硫黄などの不純物も残油成分の中に多く含まれており、使用する前には不純物を取り除いて使用しなければなりません。

また、残油は火力が強いため、大きなエネルギーを生み出す際に役に立ち、工業用の機器や工場の加熱・病院の暖房等への利用が多い特徴があります。

【まとめ】原油は常圧蒸留装置を使ってさまざまな商品を作っている

原油は常圧蒸留装置を使って精製すると、誰もが知っているガソリンや灯油から、ライターのガス・アスファルト・プラスチックと日常に欠かせない商品に生まれ変わります。

日常にあるものを見て、製造のプロセスをふと思い出してみると面白いでしょう。

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