潤滑油

エンジンオイルのacea規格とは?ほかの規格との違いについて解説

欧州車に乗っている方の中には「どのエンジンオイルにすればいいの?」と疑問に思う方がいるかもしれません。店舗やインターネットで調べると「acea規格」や「API規格」などの表記を見て、混乱する方が多いようです。

この記事では、エンジンオイルの規格の1つである「acea規格」について解説します。自分の車に合ったエンジンオイル選びの参考にしてみましょう。

acea規格とは

そもそもacea(アセア)とは、ベルギーに本部がある「欧州自動車工業会」を指して使われる言葉です。aceaには、VWやボルボなどの欧州車メーカー15社が加盟しています。企業には、日本のHONDAやTOYOTAなどの日本企業も含まれます。

acea規格は、aceaの加盟企業によって決められた「欧州車のエンジンオイルに求められる性能」の規格を表しているのです。車のエンジンやエンジンオイルの性能は年々向上しているため、性能に合わせてacea規格をアップデートする必要があります。

そのため、acea規格は数年ごとに規格の内容を最新のものにアップデートしています。現在の最新版は2021年の「ACEA-2021」です。

ほかの規格との違い

エンジンオイルの規格は、市場に出回るオイルの品質を一定に保つために存在します。

車の走行環境や気候などの環境は国や地域によって異なります。そのため、国や地域ごとに重視するオイル性能に違いが生じるのです。

現在は、1つのオイルが複数の規格認定を受けることも多くなっているでしょう。オイル規格にはさまざまな種類がありますが、代表的な規格は以下の4つです。

  • API規格
  • ILSAC
  • ディーゼルエンジンオイル規格
  • 自動車メーカー規格

これから、それぞれの規格について解説します。

API規格

API規格は、アメリカ石油協会(American Petroleum institute)が決めたエンジンオイルの性能です。

オイルを使用できるエンジンによってシリーズが異なり、ガソリンエンジン用は「Sシリーズ」、ディーゼルエンジン用は「Cシリーズ」と呼ばれています。

ILSAC

ILSACは、国際潤滑油標準化承認委員会が定める規格です。米国自動車工業会と日本自動車工業会が共同で取り決めたものです。ILSACは、API規格に省燃費性能の指標を加えたオイル規格と言われています。

ディーゼルエンジンオイル規格

ディーゼルエンジンオイル規格とは、ディーゼルエンジンで使用されるオイルの品質や性能を定める基準や標準を指します。バス・トラック・乗用車など車の用途ごとに「DH-1」「DH-2」「DL-1」などのように異なる規格が制定されている点が特徴的です。

自動車メーカー規格

自動車メーカーが独自に制定する規格もあります。国によって走行環境や自然環境が異なるため、エンジンオイルに求められる性能が異なる場合があるのです。

欧州では、エンジンオイルを積極的に燃焼させ、オイル交換を前提とした規格や耐熱性、耐せん断、耐蒸発性を重視した規格などが存在します。

acea規格の特徴

実は、もともと欧州車のエンジンオイルには、API規格が適用されていました。しかし、ヨーロッパにおける自動車の利用方法や排ガス規制が変わり、規格の内容をアップデートする必要が出てきたのです。

そこで1990年代に誕生したものが「acea規格」です。API規格は「省燃費性能」に重点を置いていますが、acea規格は「エンジン保護性能」や「環境性能」を重視しています。

acea規格は「API規格よりも試験のハードルが高い」「グレードの高い添加剤やベースオイルを使用している」などの特徴があります。そのため、欧州車に使用するエンジンオイルを選ぶのであれば、acea規格にしておけば問題が起きにくいと言われているのです。

また、国産車やアメリカ車でも、オイルグレードや粘度が同じであれば問題なく使用できるとも言われています。

acea規格のカテゴリー

同じ規格の中でも、エンジン構造の違いによって以下のようにカテゴリー分けがされています。

  • ガソリンエンジン用:A規格
  • 乗用ディーゼル用:B規格
  • ガソリンエンジンおよびDPF付きディーゼルエンジン用:C規格
  • 大型ディーゼル用:E規格

現在は、ガソリンエンジン用と乗用ディーゼル用をまとめて「A3/B4」と表記されます。

欧州車メーカーの多くが5W-40粘度を推奨する理由

欧州車メーカーが推奨するオイル粘度は「5W-40」が多いと言われています。粘度表記に含まれる「W」とは、低温状態のオイル粘度を意味する「winter grade」を略したものです。

5Wの場合、-30度でも運用可能です。後半の「(SAE)40」は、高温状態のオイル粘度を示します。SAE40は、上から2番目に柔らかいエンジンオイルです。

オイルの粘度には明確な優劣がありません。気温や走行環境などによって適した粘度があるのです。欧州車は寒暖差の大きく、高速道路などの高負荷長時間運転が多いなどの条件をもとに「最適な保護と性能」「環境対応性」「多様な車両への適合性」の良い5W-40粘度のエンジンオイルが推奨されています。

欧州車のオイル交換時期が長い理由

欧州車の説明書には、エンジンオイル交換目安として「走行距離20,000km」と記載されているケースがあります。国産車よりも交換時期が長く設定される傾向にあるのです。

理由としてあげられる点は、平均走行距離です。日本よりも平均走行距離の長い欧州では、エンジンが完全暖気状態で使用される時間の割合が多いため、交換時期が長くなると考えられています。

そのため、欧州車で日本の道路を走行する際は、オイルの劣化が早まる可能性があるため、早めの交換が必要になる可能性があるでしょう。

まとめ|オイル規格の違いを理解してから買いましょう

エンジンオイルには、さまざまな規格があり重視されているオイル性能が異なります。車によって対応しているエンジンオイルの規格は異なるため、それぞれに適合したオイルを使用しましょう。

また、走行環境によっては交換時期を早める必要がある点も覚えておきましょう。

関連記事

TOP