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エンジンオイルの新規格SP規格とは?SN規格と混ぜたらどうなる?

エンジンオイルの『SP規格』という言葉を最近耳にする機会が増えてきました。

しかし、「ほかの規格との違いが分かりにくい」「そもそも規格が何なのか分からない」という方も多いかもしれません。

この記事では、SP規格について、SN規格との違いも交えつつ解説します。ぜひ最後まで読んで、愛車のオイルにも取り入れてみてください。

エンジンオイルの新規格「SP」とは?

エンジンオイルの規格は、グレードを表しています。

新しい規格として注目されている「SP」はAPI規格が定めたものです。APIは、API(米国石油協会)・SAE(アメリカ自動車技術者協会)・ASTM(アメリカ材料試験協会)の3者が定めています。

エンジンオイルには、そのほかにも規格があり、GFで始まる「ILSAC規格」やMで始まる「JASO規格」などがあり、それぞれ違いがあります。

そもそもAPI規格とは?

API規格とは、上記の通り3者が定めており、SやCで始まるアルファベット2文字でエンジンオイルのグレードを表示している規格です。

Sはサービスカテゴリでガソリンエンジン用、Cはコマーシャルカテゴリでディーゼルエンジン用のオイルを指しており、2文字目のアルファベットはAからPへ進むほど新しいものとなっています。

つまり、一番古い規格がSAで、以降は順に新しいということです。新しいほど、低温での始動が安定したり、スラッジコントロールが向上したりとさまざまな効果が付加されているのが特徴です。

例えば、SAよりもSLの方が新しく、より性能が良いと理解しておくとよいでしょう。

API規格のこれまでの変化

SPに至るまで、SAからSNまでの13段階がありました。SAから始まり、規格が新しくなるごとに、添加物の配合をはじめ、耐摩耗性・酸化安定性・スラッジ防止性などを追加し、改良を重ねています。

古い自動車を対象としたSH以前の規格は廃止となっており、2001年にSL、2004年にSM、2010年にSN、そして2020年5月にSPが流通するようになりました。

比較的新しいSL以降では、省燃費性・排ガス浄化・オイル劣化防止などの効果が付加されています。

SNからSPになってどのような違いと差がある?

従来のSNから新しいSPが登場し、何が変わったのでしょうか。

違いはエンジンオイルの性能にあります。SPでは全体的にさまざまな性能が大幅に向上しています。特に違う点を以下で解説していきます。

SNとSPの違い①LSPI

LSPIとは、『Low Speed Pre-Ignition』の略称で、ガソリンを直接シリンダー内に噴射する直噴エンジンで起こるトラブルのことです。

点火前の不完全燃焼・ノッキング(異音や振動)などの異常燃焼が発生し、この回数が多いほどエンジンへのダメージが大きくなります。

SNでは24回程度起こるとされていたLSPIが、新しい規格であるSPでは、ほぼ0回となったことで注目を集めました。

また、エンジンオイルによっては、LSPI対応と表記されたものもあるため、お困りでしたら探して見るとよいかもしれません。

SNとSPの違い②タイミングチェーン摩耗

タイミングチェーンとは、バルブを駆動させてカムシャフト(給排気に関するパーツ)を回すことでエンジンを始動させるチェーンです。タイミングベルトとは異なり、交換頻度が非常に低いどころか、はっきりとした交換時期の目安がありません。

このタイミングチェーンが摩耗すると、エンジンへの負荷が大きくなってしまいます。

SNやそれ以前のエンジンオイルでは、タイミングチェーンの摩耗対策はされていません。

上記のLSPI同様にSNからSPに登場したことで、格段に恩恵が受けられるパーツといえるでしょう。

SNとSPの違い③省燃費性能

エンジンオイルによって、燃費も左右されます。SNとSPを比較すると、標準的なエンジンオイルで燃費が約3〜4%向上しています。

もちろん、いくら性能のよいオイルでも古いまま使用していると燃費は悪くなります。SPのオイルであっても、定期的に交換しましょう。

SNとSPの違い④スラッジコントロール

スラッジとは、エンジン内のすすや汚れを指します。エンジンオイルを人間の血液に例えるならば、スラッジは中性脂肪や血栓のようなものです。

SPのエンジンオイルは、SNよりスラッジコントロールが向上しており、清浄分散作用のアップにより、エンジンが円滑に回転し、始動が安定したり振動が減ったりするメリットがあります。

街乗りのように頻繁にゴー&ストップを繰り返す場合はオイルの温度が上がりにくく、スラッジが発生しやすい状況では、特にSPが最適です。もちろん、SPでも定期的なオイル交換は必要のため、忘れないように注意しましょう。

SNとSPのエンジンオイルを混ぜるとどうなる?

SNやSPはいわゆるグレードを示しています。グレードにより、燃費の良さや耐久性の高さなどに差があるため、グレードの異なるエンジンオイルを混ぜると、付加された効果が発揮できない場合があります。

故障のリスクは低いかもしれませんが、混ぜるのはやめておきましょう。

まとめ|SP規格のエンジンオイルはSN規格より大幅に性能アップしている

SPのエンジンオイルは、従来のSNよりも、大幅に性能がアップしています。

LSPIがほぼ0回となり、エンジンの負荷が軽減されます。また、チェーンの摩耗対策がされているなど、SNより格段に質の高いエンジンオイルであるため使わない手はありません。

規格が違うオイルを混ぜると効果が発揮できない可能性があるため、SPに変更する際は、オイルは全量交換しましょう。

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