「クリーンディーゼル用エンジンオイル」がどんなオイルかご存じでしょうか。
クリーンディーゼル車のためのエンジンオイルは、ディーゼル車の性能と環境性能を両立させてくれるエンジンオイルです。ただし、適合性や選び方を間違えると望む効果が得られません。
この記事では、排ガス対策や燃費向上などの効果が期待できる、クリーンディーゼル用エンジンオイルについて紹介しています。クリーンディーゼル用エンジンオイルに関する悩みを解決したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
【JASO規格】クリーンディーゼル用のエンジンオイルとは?
クリーンディーゼル用エンジンオイルは、排出ガス対策に特化して開発された高性能オイルです。従来のディーゼルオイルより、NOxと呼ばれる窒素酸化物や、粒子状物質(PM)を大幅に抑制する効果があります。
また、高い潤滑性能と清浄性でエンジンの摩耗を抑え、燃費の改善にもつながっています。両オイルの主な違いは下表のとおりです。
クリーンディーゼル用オイル | 従来のディーゼルオイル | |
灰分含有量 | 0.5~1.0%程度 | 1.0%以上 |
清浄分散性 | 非常に高い | 高い |
酸化安定性 | 非常に高い | 高い |
環境性能 | 2005年以降の排ガス規制に対応 | API規格に対応 |
DPFを装着しているクリーンディーゼル車には、クリーンディーゼル用エンジンオイルを選びましょう。
クリーンディーゼル用エンジンオイルの特徴3選
ここからはクリーンディーゼル車のためにある、クリーンディーゼル用エンジンオイルの主な特徴を解説します。
従来のディーゼルオイルと間違えて使用すると、故障の原因にもなりかねませんので併せて確認してください。
特徴1.エンジンオイル中の灰分が少ない
従来のディーゼルオイルは、オイルに含まれる灰分(アッシュ分)が多いため、燃えカスが排ガス中に残り、DPFを詰まらせます。排ガス中の「すす」はDPFで定期的に燃やされますが、エンジンオイルの燃えカスはDPFでは燃焼されません。
そのため、DPFへの堆積は避けられず目詰まりの原因となり、燃費の悪化や故障となる恐れがあります。灰分を極力抑えてDPFを保護しているのが、クリーンディーゼル用のエンジンオイルなのです。
特徴2.高温酸化防止性に優れる
クリーンディーゼルエンジンは、従来のディーゼルエンジンに比べ燃焼室内が高温になる傾向があります。エンジンオイルは、高温にさらされると酸化が促進され、粘度低下の原因となるのです。オイルの粘度低下は、出力不足や焼き付きを引き起こしかねません。
そのため、クリーンディーゼル用エンジンオイルは高温でも酸化しづらい特性となっています。
特徴3.耐摩耗性に優れる
ディーゼル用エンジンオイルから灰分を減らすには、金属添加剤を減らさなければなりません。金属添加剤を減らすとオイルの性能は低下し、スラッジの発生による潤滑不良や燃費の悪化を引き起こします。
クリーンディーゼル用エンジンオイルは、灰分を減らしつつ潤滑性や清浄分散性などのオイル性能を保持しています。
クリーンディーゼル用エンジンオイルの規格
クリーンディーゼル用エンジンオイルには、JASO規格が採用されています。日本のディーゼルエンジンの特性に合わせ規定されており、規格ごとの主な特徴は下表のとおりです。
DL-1 | DL-2 | DH-2 | |
用途 | ディーゼル乗用車 | ← | 大型ディーゼル車 |
硫酸灰分量 | 0.6%以下 | 0.7%以上0.8%以下 | 1.0%以下 |
特徴 | DPFに対応 高温酸化防止 | ほぼDL-1に準拠 ACEA規格に対応 | DPFに対応 省燃費性向上 |
クリーンディーゼルエンジンの特徴を、次章で紹介します。
クリーンディーゼルエンジンの特徴
クリーンディーゼルエンジンは、従来のディーゼルエンジンが抱えていた排ガス問題を解決するために開発されたエンジンです。ディーゼル車に対する規制が厳しくなる中、NOx・PMを大幅に削減しなければなりませんでした。
排気ガス汚染の原因である不完全燃焼を防ぐため、燃料噴射装置の改良や、排気ガス浄化装置を採用しました。今後もディーゼル車の排ガス規制対応による環境性能向上が期待されています。
従来のディーゼルエンジンと比較して大きく異なる点は下記のとおりです。
- 特徴1.高出力でありながら燃費向上
- 特徴2.振動や騒音が低減
それぞれの特徴を解説します。
特徴1.高出力でありながら燃費向上
従来のディーゼルエンジンは、噴射ポンプによる燃料噴射のため、噴射のタイミングが最適とはとても言えませんでした。
しかし、コモンレール式高圧燃料噴射装置の採用により、最適なタイミングの燃料噴射が可能になりました。加えて、電子制御によるきめ細かい燃料噴射制御ができるようになり、高出力でありながら低燃費を実現しています。
特徴2.振動や騒音が低減
ディーゼルエンジンは、高い圧力で燃料を燃やすため、振動や騒音が発生しやすいのが課題でした。また、噴射タイミングのずれによる異常燃焼も振動や騒音の原因として挙げられていました。
クリーンディーゼルエンジンは、コモンレールやインジェクター、ECUの組み合わせで燃焼効率が向上。そのため、異常燃焼による振動や騒音を大幅に抑え、静粛性が向上しています。
まとめ|クリーンディーゼル車にはクリーンディーゼルエンジンオイルを!
クリーンディーゼル用エンジンオイルは、環境性能を向上させたクリーンディーゼルエンジンに最適化されたエンジンオイルです。そのため、クリーンディーゼル車以外に使用すると潤滑性能の低下や燃費の悪化など、オイルの性能を十分に発揮できません。
ご自身の車に適合するエンジンオイルを選び不要なトラブルを避けましょう。