「ハイブリッド車だから、エンジンオイル交換はあまりやらなくても大丈夫」と思っていませんか。実は、ハイブリッド車は特有の運転パターンがあるため、オイルには相当な負担がかかっています。
この記事では、ハイブリッド車でオイル交換を怠った場合のトラブル例を紹介します。ハイブリッド車に適したオイル選びも解説していますので、メンテナンスの参考にしてください。
目次
ハイブリッド車がオイル交換を怠ると起きるトラブル3選

ハイブリッド車は、ガソリン車と比べてエンジン稼働時間が少ないとはいえ、オイル交換は実施しなければなりません。以下より、オイル交換を怠った場合に想定されるトラブルを3つ紹介します。
トラブル例1. 加速不良やアイドリングの不安定
エンジンオイルが劣化すると、加速が悪くなったり、アイドリングが不安定になったり、エンジンの性能が低下します。なぜなら、エンジンオイルには、エンジン内部の金属部品に油膜を形成し、動きを円滑にする役割があるためです。
劣化したオイルは油膜を形成しにくく、金属部品の動きが悪くなります。結果として、エンジンのレスポンスが悪くなり、本来の性能が十分に発揮できません。
トラブル例2. 燃費の悪化と排気ガスの増加
エンジンオイルの劣化は、燃費の悪化や排気ガスの増大につながります。オイルが劣化すると、エンジン内部の抵抗が増え、本来のパワーを得るためには多くの燃料が必要になるためです。さらに、パワーを出すために、エンジンの稼働時間が長くなり、排気ガスの量も増えます。
オイルの劣化は、ハイブリッド車の最大のメリットである省燃費性能を損なう結果となります。
トラブル例3. エンジンの摩耗や焼き付き
エンジンオイルの潤滑性能が低下すると、エンジンの摩耗や焼き付きの原因となります。なぜなら、オイルの劣化が進むと、エンジン内部の部品同士の摩擦が増えるからです。また、オイルの洗浄性能も低下するため、スラッジが発生してオイル通路を詰まらせ、エンジンの焼き付きの原因にもなります。
ハイブリッド車のオイルが劣化しやすい理由

ハイブリッド車は、通常のガソリン車と比べてオイルが劣化しやすい条件がそろっています。ハイブリッド車のオイルが劣化しやすい理由を下記より2つ紹介します。
理由1. 冷間始動の繰り返し
ハイブリッド車は、その特性上、エンジンが低温の状態で始動するため、オイルが劣化しやすくなります。エンジンの温度が低いと、エンジン内部の水分が蒸発しにくく、オイルに混入しやすいため潤滑性能が著しく低下することも原因です。また、燃料も完全に気化・燃焼されず、一部がオイルに混入し希釈されるため潤滑性能が低下します。
理由2. オイルが適正温度になりづらい
エンジンオイルには、性能を十分に発揮するために適正な温度があります。一般的に適切な温度は、約80℃〜100℃です。
オイルが適正な温度でない場合、潤滑性能の低下はもちろん、添加剤の性能も十分に発揮されません。そのため、オイルの酸化が進み、粘度の低下、エンジン内部の洗浄が滞るなど、オイルが劣化します。
適切なオイル交換のタイミング

ハイブリッド車も、正しいオイル交換時期にメンテナンスしなければなりません。以下
より、普通ガソリン車とハイブリッド車の交換時期を比較して紹介します。
普通車の場合
普通ガソリン車のオイル交換タイミングは下表のとおりです。
車種 | 通常走行時 | シビアコンディション時 |
普通乗用車 | 1万5千km、又は1年 | 7.5千km、又は6ヶ月 |
ターボ車 | 5千km、又は6ヶ月 | 2.5千km、又は3ヶ月 |
軽自動車 | 1万km、又は6ヶ月 | 5千km、又は3ヶ月 |
シビアコンディションとは、悪路走行、山道や坂道、短距離走行が多いなど、大きな負担がかかる過酷な使用状況を指します。推奨されるオイル交換時期は、車種やメーカーによって異なるため、必ず取扱説明書を確認しましょう。
ハイブリッド車の場合
ハイブリッド車のオイル交換タイミングは下表のとおりです。(普通乗用車の場合)
通常走行時 | シビアコンディション時 |
1万5千㎞、又は1年 | 7.5千㎞、又は6ヶ月 |
エンジン稼働時間が少ないハイブリッド車は、ガソリン車のオイル交換タイミングと比較しても特別長いわけではありません。したがって、ハイブリッド車も定期的なオイル交換が欠かせません。
ハイブリッド車の特性を生かすオイルとは?

ハイブリッド車は、定期的なオイル交換と併せて、ハイブリッドに適したオイル選びが重要です。以下より、ハイブリッド車と相性の良いエンジンオイルを紹介します。
ハイブリッド車には低粘度オイルがベスト
ハイブリッド車は特性上、エンジンが暖まりにくい特徴があります。そのため、低温時でもエンジン各部にオイルが行き渡る、流動性に優れた低粘度オイルがおすすめです。
また、酸化安定性や省燃費性など、添加剤の性能が良いグレードのオイルを選ぶとよいでしょう。ハイブリッド車におすすめのオイルは下表のとおりです。
推奨オイル粘度(SAE規格) | 推奨グレード |
0W-16 0W-20 5W-30 | API規格:SP、SN ILSAC規格:GF-6 |
粘度が異なるとエンジンにダメージを与えかねないため、メーカー推奨の粘度を確認してください。
まとめ|ハイブリッド車こそオイル交換してコストを抑えよう

ハイブリッド車は、エンジンの稼働時間が少ないため、定期的なオイル交換は必要ないと思われがちです。しかし、エンジンの頻繁な始動や停止、温度が上がりにくいなどの特性はオイルの劣化を促進する可能性があります。
ハイブリッド車の魅力である、省燃費性能を最大限発揮するために、定期的なオイル交換を心がけましょう。