潤滑油

ギヤー油は工業用と自動車用にわけられる!役割や求められる性能も解説

ギヤー油を使いたいけれどどのギヤー油を使えばいいかわからない方も多いのではないでしょうか。わからないまま使用して機械が故障でもしたら大変なため、ギヤー油の役割や種類を知りたいと思うはずです。

本記事を読めば、ギヤー油の役割や種類がわかるようになります。工業用ギヤー油のみならず、自動車用ギヤー油についても紹介しているため、ギヤー油の種類を知り、適切なものか選べるようになりたい方は必見です。

ギヤー油の役割

ギヤー油は、歯車や軸受の動きをスムーズにしたり、保護するために使われるオイルです。そのため、ギヤー油の主な役割は潤滑であり、ほかにも、主に以下のような特性が求められます。

  • 粘度
  • 極圧性
  • 熱安定性
  • 酸化安定性
  • 水分離性
  • 消泡性
  • 防食防錆性

粘度はオイルの硬さを表し、粘度が高いほどクッション性が増します。また、極圧性とは、摩擦面の焼き付きや融着による損傷を防ぐ性能を表しています。

歯車などの速度に合わせオイルの温度が上がるようにする熱安定性や、熱で促進される酸化によりスラッジを生成したり粘度変化を起こす酸化安定性も大切です。これらの特性が上手く働き、歯車や軸受がスムーズに作動するようになるのです。

ギヤー油の種類

ギヤー油には、さまざまな種類があります。大きく分類すると、工業用と自動車用の2種類で、一般的に自動車用ギヤー油の方が工業用ギヤー油よりも性能がよいとされています。それぞれ詳しく解説するため、確認しましょう。

工業用

工業用のギヤー油は、JIS(日本産業規格)により、2つの種類にわけられています。性能の違いにより第1種と第2種に分類しているのです。

そのほかにも、AGMA(アメリカ歯車製造者協会)は、一般歯車用やウォーム歯車用、開放式歯車用、密着歯車用と歯車の違いに大別しています。そこからさらに、粘度や給油法、使用限界温度などによりこまかく分類しています。

自動車用

自動車のギヤー油は、使用箇所によって分類されています。主に、以下4つの部分に使われます。

  • マニュアルトランスミッション
  • デファレンシャル
  • ステアリングギヤーボックス
  • 農業機械

それぞれのギヤー油について、各箇所がどのような役割を担っているのかを合わせて説明します。

マニュアルトランスミッション

マニュアル車のギアチェンジをスムーズに行うために潤滑させる役割を果たすのが、マニュアルトランスミッションオイルです。その名の通り、マニュアルトランスミッションに使用します。

マニュアルトランスミッションオイルは、米国石油協会により6つのグレードにわけられています。「GL-1」から「GL-6」までにわけられており、このうち一般的なマニュアル車によく使われるグレードは「GL-3」と「GL-4」です。

「GL-3」は純正指定されるケースも多い、中程度の負荷がかかる自動車に向けたグレードです。「GL-4」はさまざまな負荷に対応しており、ディファレンシャルギアやステアリングギアにも使われます。

デファレンシャル

デファレンシャルギアがスムーズに動くよう潤滑させるのが、デファレンシャルオイルです。

デファレンシャルギアとは、車が曲がる際にタイヤの外輪と内輪に生まれる差を調整する役割を果たしている部分を指します。このデファレンシャルギアにより、カーブをスムーズに曲がれるようになるのです。

デファレンシャルギオイルが劣化すると、ディファレンシャルギアからの異音が発生したり、ハンドルの振動やハンドル操作しても曲がらないなどのトラブルが起こったりします。

ステアリングギヤーボックス

ステアリングギヤーボックスに使われるオイルは、ハンドリングをスムーズにする役割を果たしています。ステアリングギヤーボックスには、デファレンシャルオイルの使用も可能です。

ステアリングギヤーボックスは、フロントホイールをハンドルで操作するための部分です。歯車によって、軽い力でフロントホイールを操作できる仕組みになっています。

ステアリングギヤーボックスが壊れると、ハンドルを切った時に異音がするなどのトラブルが起こるのです。

農業機械

農業機械にもギヤー油が使われます。

主に、トラクターのロータリーやドライブハローに使用されるケースが多いです。そのほかにも、チェーン駆動の田植機についているチェーンケースや、ギヤ駆動のコンバインについているギヤケースにも使用できます。

農業機械に使われるギヤー油のグレードは、「GL-1」から「GL-6」のうち、「GL-4」がよいといわれています。ただし、農業機械のミッション部分にはギヤー油を使えないので注意が必要です。

まとめ|ギヤー油にはさまざまな種類がある

ギヤー油にはさまざまな種類があり、大きく分けると工業用と自動車用の2種類に分類されます。ギヤー油は使用用途によってさらにこまかくわけられており、それぞれの箇所に適切なグレードのギヤー油を使う必要があるのです。

各部分が性能を十分に発揮できるよう、この記事を参考にして適切なギヤー油を選びましょう。

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